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Q&A

水輸送用塗覆装鋼管はどのくらいもちますか?

水輸送用鋼管は,溶接により完全水密で強靭な一体構造管路となる利点があり,高圧の埋設管ラインは勿論,水管橋,河底の伏越横断,または海底管など,将来不具合が発生した場合,補修が困難か不可能な箇所には早くから使用されており,他の管種では得られない良さを示しております。

わが国では,明治時代末期の主要都市における上水道設置に伴い,鋼管が使用されるようになりました。 しかし,当時は鋼板相互の適当な接合方法がなかったため,鋼管の製作は鋲,鍛接,鋼塊を穿孔・圧延しての継目無などの方法が採用されました。これらの管は,強度の面では優れていたものの,価格や施工の容易性の面で,当時の他管種に比べて不利であったため,その利用範囲は高圧の部分に限定され,水道界には「鋼管は高級な材料」という印象を与えておりました。その後,昭和初期以降の溶接技術の進歩に伴い,各事業体の水道施設への採用が増えるようになりました。昭和初期以前の鋼管の採用実績例を表に示しております。

このように,わが国水道界における鋼管使用歴は100年程度で, 歴史的に浅いといえます。しかし,鉄の発達は鋳鉄から鋼鉄へ,さらに特殊鋼へと,軽量でより強靭なものへと進化しています。あわせて現場施工の面でも,溶接技術の進歩・改良と作業の安全性がはかられています。そして今日,鋼管は水道界に欠かせない必要なものとなっています。

水道用鋼管の採用実績例
事業体名 用途 口径(mm)x延長(m) 布設年 製造方式
横浜市 導水管 1,050x4,480 大正3年 鍛接
神戸市 水道管 750 (2条) 大正6年 リベット
東京都 導水管 1,909x1,0757 大正13年 リベット
東京都 導水管 1,894x3,486 昭和8年 溶接
神奈川県 配水管 700x3,423 昭和9年 溶接
川崎市 配水管 1,100x17,423 昭和9年 溶接

鋼管の特長として,

  1. 高強度・・・大きな外力にも耐える
  2. 高延性・・・大きな変形にも破断しない
  3. 高靭性・・・衝撃力に対しでも割れない

があります。さらに鋼管は溶接により一体構造管路を形成でき, 「抜け」や「割れ」の恐れがなく抜群の耐震性を有する配管材料です。

これらの特長をもった水道用鋼管は,外面防食対策としてポリウレタン・ポリエチレン被覆などが一般的に使用され,従来のコールタールエナメル・アスフアルト塗覆装に比べ防食性能が格段に向上されています。 内面についても水道用液状エポキシ樹脂塗料の規格化,塗装技術ならびに品質管理技術の向上が著しく,完全に防食された鋼管の寿命は半永久的であると言っても過言ではありません。

水道用鋼管の財務上の耐周年数は,平成13年に改正された地方公営企業法施行規則により, 40年となっています。しかし,耐用年数がきたからといって使えなくなるわけではありません。現実に80年以上,現役で供用されている導送水管があります。写真は,大正時代に建設され,いまも送水機能を果たしている水管橋の例です。水輸送用鋼管は,塗覆装の維持管理を適切に行えば,半永久的に使える材料なのです。

水管橋
神戸市水道局殿の水道橋(リベット鋼管)
大正6年架設、今も健在

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