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用語集:か行

開削工法: open cut method
地表面から所定の位置まで掘り下げ、鋼管布設後に埋め戻す工法。一般に、比較的掘削深さが浅い場合が多い。
ガウジング: Gouging
熱切断の原理を応用して金属にみぞを掘ることで、溶接開先の形状、溶接欠陥や余盛の除去などに用いる。一層目溶接後、裏溶接をするためにその前処理として開先内のビードをはつり取ったりするときに行われる。
ガスシールドアーク溶接: Gas-shield metal arc welding
炭酸ガス、アルゴンなどのガスで、アークと溶融金属を大気から遮蔽しながら行うアーク溶接の総称。
カソード: Cathode
金属中の電子と環境(電解質)中のイオンが反応(還元反応)される箇所。陰極ともいう。
釜場: Sump
開削工事において湧水等がある場合、これを一ヶ所に集め排水するために設けるくぼみ。ここから排水ポンプにより排水を行う。
管厚公差: Manufacturing tolerance of pipe wall thickness
JIS G 3443「水輸送用塗覆装鋼管」においては、管の口径は外径基準で規定されており、各口径の管に対してAシリーズならびにBシリーズの管厚がそれぞれ定められている。実際の管においては、わずかながら工場製作上の製作誤差が生ずるため、JISではこれら管の口径や管厚に関する許容差を同時に規定している。このうち、管A厚に対する許容差を管厚公差といい、JISによれば次表のとおりである。ただし、実際には発注仕様書等でより厳しい公差(マイナスゼロ等)が規定される場合もある。
管 厚 許容差
呼び径 350A 未満 +15 %
- 12.5 %
呼び径 350A 以上 厚さ 7.5 mm 未満 + 15 %
- 0.6 mm
厚さ 7.5 mm 以上 12.5 mm 未満 + 15 %
- 8 %
厚さ 12.5 mm 以上 + 15 %
- 1.0 mm
乾食: Dry corrosion
腐食性の気体によって生じる腐食。
管内粗度: Pipe roughness
管内面の水力学的な粗さ。円管内の流れでは、管壁と流体との摩擦によって圧力損失が生ずるが、乱流域においては、管内面の機械的粗さによって摩擦損失が変化する。ニクラウゼ(Nikuradse)は、管内面に種々の突起を設けて水理実験を行っており、突起高さの平均値と管摩擦係数との関係を実験式として提示している。
管摩擦係数: Friction factor of pipe wall
円管内における流れの圧力損失を壁面摩擦と関係づける係数であり、次式により定義される管摩擦係数λを特にダルシーの管摩擦係数(Darcy's friction factor)という。
管摩擦係数
ここに、△pは圧力損失、Lは管長、Dは管内径、gは重力加速度、γは流体の比重量、Vは管内平均流速をそれぞれ示す。なお、管壁面におけるせん断応力τoを平均速度Vに対する動圧で無次元化した管摩擦係数fをファニングの管摩擦係数(Fanning's friction factor)といい、λとの間に次のような関係がある。
管摩擦係数
基礎支持角: Support angle of foundation
管体が土基礎上に布設された状態では、管下端を中心としたある角度の範囲で、基礎反力が発生する。この角度を基礎支持角という。管の構造設計では、スパングラーのモデルに従い、鉛直荷重、管重量、管内水重などの荷重に対する基礎反力が、支持角内の基礎面に等分布で発生するものと仮定している。基礎支持角は、管の種類や基礎材料によって異なるが、鋼管の場合90゚または120゚ が用いられる。
基礎反力: Reaction force of foundation soil
管体が土基礎上に布設された状態で、管に作用する鉛直荷重、管自重、管内水重などに対して土基礎側に発生する反力をいう。設計上、基礎反力は、管体の支持角内に等分布に発生するものしてとり扱われる。
脚長(すみ肉溶接の): Leg ( of fillet weld )
継手のルート部からすみ肉溶接の止端までの距離。設計上用いる場合は、すみ肉のサイズをいうこともある。
脚長
キャタピラ接地圧: Ground pressure on crawler track
埋設管の施工時荷重を考慮する場合に用いる諸元で、単位面積あたりのブルドーザーの覆帯が表層土に作用させる荷重。
キャビテーション・エロージョン: Cavitation-erosion
キャビテーションによる気泡が急激に崩壊する時に生じる衝撃圧よって金属に生じる損傷。
局部腐食: Local corrosion
ある部分に集中して起こる腐食。
許容応力度: Allowable stress
鋼材に外力を作用させると、弾性範囲内では発生ひずみと発生応力との間に線形関係があり、かつ除荷すると元の状態にもどるような挙動を示す。さらに大きな外力を作用させると、応力度-ひずみの関係が非線形となり、除荷しても永久変形が残るようになる。このような領域を塑性域と呼び、弾性域-塑性域の分岐点を「降伏点」、降伏点における応力度を「降伏応力度」と呼ぶ。  一般的な鋼構造物の設計では、与えられた荷重条件に対し、ある安全率を含めて鋼材に発生する応力度が降伏応力度を下回るような応力度の指標が設定され、計算上鋼材に発生する応力度がこれを下回るような設計がなされる。これを「許容応力度設計法」と呼び、このときの設計指標となる応力度を「許容応力度」という。  許容応力度の値としては、降伏応力度に対する安全率1.6、あるいは、降伏点が明確に観測できない材料については引張強度の1/3といった値が採用されることが多い。  ちなみに、水道用埋設鋼管の設計では、「許容応力度」のみならず、「許容変形率」からも構造的安全性の照査がなされる。
許容応力度の割増し: Premium rate of allowable stress
埋設鋼管の設計に際しては、常時作用する「主荷重」(内圧、土圧、自動車荷重、その他の上載荷重)と、一時的に作用する「従荷重」(施工時荷重、水撃圧)をそれぞれ条件に応じて組み合わせて考慮する。一時的にしか作用しない従荷重については、主荷重と組み合わせて評価する場合、そのまま常時荷重と同様に評価するとオーバースペックとなり、経済性を損ねるため、このような場合には許容応力度を50%割増して評価することができる。これを「許容応力度の割増し」という。
許容変形率: Allowable deformation rate
水道用鋼管の場合、外力に対して変形(たわみ)が大きくなると、構造的には問題がない状態であっても、通水断面の減少や内面塗装の損傷を生ずるおそれがあるため、これを防止するために「許容変形率」が設計基準で定められている。  変形率は、呼び径と変形量との比で与えられ、内面が塗料の場合、水道用鋼管の許容変形率は5%と規定されている。
切りばり: strut
腹起こしを通して作用する土圧をうける梁。材料はH型鋼などが多用される。
クラッシャーラン: Crusher-run
原石を機械で破砕したままの砕石のこと。道路の路盤材料や構造物の基礎材、あるいは栗石などの目潰し材として用いられる。
グルーブ: Groove
突合せ溶接における溝型の開先の名称。
限界状態設計法: Limit state design method
構造物の新しい設計法。従来の許容応力度設計法では、構造物の部材毎に作用する荷重に対して発生する応力度が、安全率を考慮して予め設定された許容応力度を下回るような設計がなされていたのに対し、限界状態設計法では、ある構造部材が限界状態(機能喪失)を超過する確率を信頼性指標に置き換えて安全性の尺度とみなし、予め定めた「目標信頼性指標」を満足するように部材の所要耐力を求める。
減衰定数: Damping factor
地盤や構造物に対して地震波が作用した場合に、振動エネルギーがその内部周囲との摩擦などによって消費され、次第に振動が減衰していく特性を表す指標。 例えば、構造物の耐震動的解析に用いられるレイりー(Reyleih)減衰では、構造物の減衰を次式のように表現している。ここで、a、bはそれぞれ減衰定数を表す。  [ 減衰 ] = a×[ 構造物の質量 ]+b×[ 構造物の剛性 ] 減衰定数を小さく仮定すると応答は大きく安全側の評価となり、反対に大きく仮定すると応答が小さく危険側の評価となる。
鋼 管: Steel Pipes
鋼鉄製のパイプの総称。杭や柱材など、構造部材として広く用いられているほか、可燃性ガス、油、水などの流体輸送用のパイプラインとして使用されている。鋳鉄との最も大きな違いは、炭素の含有量であり、鋳鉄が2.0%以上の炭素を含むのに対し、鋼鉄は2.0%未満(水輸送用塗覆装鋼管STWの場合0.25%以下)である。一般に鉄は、炭素含有量が多くなるほど「硬く・強く」なるが、その一方で「延びにくく・もろく」なる性質がある。鋼管の材料として使用される鋼は、所要の強度を保ちつつ、延性(えんせい:延びやすさ)と靱性(じんせい:粘り強さ)に富んだ、耐震性に優れた管材料であると言える。
鋼管の製造方法
鋼管の製造法の分類を下表に示す。
製造法の分類
大分類 中分類 小分類
溶接法 アーク溶接法 ベンディング・ロール法
スパイラル溶接法
U.O.E法
電気抵抗溶接法 低周波抵抗溶接法
高周波抵抗溶接法
高周波誘導溶接法
鍛接法 連続法
継目無法 ロール穿孔法 マンネスマン法
押出穿孔法  
鋼管の防食: Anti-corrosion of steel pipe
鋼管の防食法としては、外面塗覆装、内面塗装および電気防食がある。一般には、外面塗覆装ならびに内面塗装により防食を行うが、施設重要度や環境等の条件によって、電気防食を併用する場合もある。防食が十分であれば、鋼管の寿命は半永久的であるといえる。
高周波溶接: High frequency welding
高周波電流を電源として高周波誘導、近接効果、誘電体損失などを利用する溶接方法である。
孔食: Pitting corrosion
腐食の起点より孔状に進行する局部腐食。
降伏点: Yield Stress
応力-ひずみ曲線において急激にひずみが増加し始める点で、JISにおいてはこのときの応力のことを指す。
鋼矢板: Steel sheet pile
土留め、締め切りなどに用いる鋼製の矢板のこと。仮設材として使用する場合と、護岸などの永久構造物として使用する場合とがある。形状としてはU形、Z形、直線形、H形、鋼管形があり、鋼矢板、軽量鋼矢板、鋼管矢板に分類される。
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