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Q&A

ステンレス鋼の非破壊検査方法について教えてください。

ステンレス鋼の溶接後に行われる試験・検査としては, 目視による外観検査, 目視検査で見つけにくい表面欠陥や内在欠陥を検査する非破壊検査, そして構造物の仕上り検査として行われる気密試験, 耐圧試験、形状検査などがあります。

これらのうち, 非破壊検査方法は次のように分類されますが, 主に放射線透過試験が行われ, 特殊な場合や放射線透過試験が適用できない部位に対しては浸透探傷試験などが採用されます。 なお, 通常の炭素鋼で用いられる超音波探傷試験(UT:Ultrasonic Testing)は, ステンレス鋼では用いることができません。これはステンレス鋼内では超音波が減衰してしまうためです。

(1) 放射線透過試験(RT:Radiographic Testing)
溶接金属内部の欠陥を調べる試験です。原理は私たちの健康診断で使われるレントゲン検査と同じで, 検査対象部位に放射線を透過させて反対側のフィルムに陰影を撮影します。 金属内部にブローホール(ガスが金属内に滞留した欠陥)や割れが存在すると, 透過線量が多くなるので, フィルムが感光し, 健全部に対して黒い陰影が写ります。 試験方法は, JIS Z 3104「鋼溶接継手の放射線透過試験方法」(工場溶接部に適用)ならびにJIS Z 3106「ステンレス鋼溶接継手の放射線透過試験方法」(現場溶接部に適用)に規定されています。

(2) 浸透探傷試験(PT:Penetrant Testing)
溶接部外面に現れている欠陥を調べる試験です。 ステンレス鋼表面に, 赤色や蛍光色の浸透液を吹きつけ, 表面欠陥(きず)の中に浸透させ, 毛細管現象を利用して表面に吸い出して欠陥を指示模様として目視で判別する方法です。 試験方法は, JIS Z 2343 に規定されています。

非破壊検査は, ブローホール, スラグ巻込み, 融合不良, 溶け込み不良, 溶接割れなど目視検査では見つけることができない欠陥の発見に役立ちます。

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